目次
遮光カーテンとは
文字どおり、光を遮って暗くするためのカーテンのことを遮光カーテンと呼びます。
外の明るさが気になりにくくなるので、寝室や西日がきついお部屋に使われることが多かったのですが、
近年では全ての部屋に遮光カーテンを掛ける方も増えています。
「遮光(しゃこう)カーテン」に似た言葉として、「遮像(しゃぞう)カーテン」があります。
遮像カーテンは見えにくくするためのカーテンでミラーカーテンと同意語になり、遮像カーテンと呼んだ場合は、暗くする機能は含まれていません。
なお、紫外線も光の一種ですが、紫外線を遮る機能に対して遮光カーテンという呼び方はあまり使いません。
紫外線対策に特化されたカーテンは、一般的にはUVカットカーテンと呼ばれることが多いです。
カーテンの遮光等級について
どのくらいの遮光性があるのか、遮光率によって等級が決められています。
※NIF(社団法人日本インテリアファブリックス協会)にて
遮光等級 | 遮光率 | 照度に関する状態表現(NIFによる) |
---|---|---|
1級遮光 | 遮光率99.99%以上 | 人の顔の表情が識別できないレベル |
2級遮光 | 遮光率99.80%以上、99.99%未満 | 人の顔あるいは表情がわかるレベル |
3級遮光 | 遮光率99.40%以上、99.80%未満 | 人の表情はわかるが事務作業には暗いレベル |
遮光性なし | 遮光率99.40%未満 |
例えば商品に「1級遮光カーテン」と書かれていたら、遮光率99.99%以上になります。
遮光率100%のカーテンも、遮光等級としては1級になります。
※当店では、生地の裏をコーティングして遮光率100%になったカーテンを「超遮光」と呼んで販売しています。
当店で販売している厚地カーテンはすべて、上記のいずれかの遮光等級をページ上で説明しております。
生地の色によって遮光性は異なります
基本的に、生地の素材や織り方によって遮光性の高さは決まってきます。
ただし、まったく同じ生地を作っても、その生地を染める色によって遮光率は上下します。
薄い色は光を通しやすくなり、濃い色は遮光率が上がって暗くなりやすいとお考えください。
仮に計測上で同じ遮光率を示していても、薄い色のほうが光を通していますので、
より高い遮光性をお求めの場合は、濃い色をお選びください。
また、暖色(オレンジ系)よりは寒色(ブルー系)の方が遮光率が高い傾向があります。
1級遮光でも明るく感じることがあります
NIFによる各等級の「照度に関する状態表現」については
前述の表のような表現がされているのですが、遮光率は生地に対する試験です。
実際は、壁や床とカーテンとの間にある隙間から入ってくる光が明るく感じる場合もありますし、
生地をつなぎ合わせた継ぎ目から漏れ入る光が気になる場合もあります。
また、数字上では0.01%の違いでも、人の目だとはっきり明るさの違いを感じますので、
1級遮光であっても、真っ暗になるわけではありません。
遮光率のパーセント表示を見ると、とても暗くなると思いがちですが、
残念ながら、実際に掛けてみた実感値と数値上の遮光率の間に差を感じることがあります。
写真で比較してみます
遮光カーテンが実際にどの程度光を遮っているのか撮影してみました。
こんな環境で撮影しました
遮光カーテンを掛けて、太陽光に近い強さのストロボをたいて撮影しました。
窓には両開き(真ん中で分ける形)になるようにカーテンを掛けています。
左側には対象となるカーテンを掛け、右側には遮光率100%の黒い遮光カーテン(暗幕)を掛けて、遮光レベルの比較がしやすいようにしました。
左右で印象が変わらない場合はかなり遮光効果が高い、というわけです。
逆に遮光レベルが低いほど、対象物として置いたマネキンの影が映りやすくなります。
遮光等級別に並べてみました
黒い生地、いわゆる暗幕をかけた場合です。マネキンの影は全く見えません。
カーテンと壁や床との間からは光が入りますので、本当に真っ暗にしたい場合は隙間対策も必要になります。
生地の色が明るめな場合です。暗幕をかけた場合に比べ、うっすらとマネキンの影が見えるのがわかりますが、かなり光を遮っています。
このあたりが1級遮光の下限と思われます。
生地の裏にコーティング加工を行った特殊な商品です。
カーテンと壁の間から入ってきた光に照らされてカーテンの柄が見えていますが、カーテンの生地自体は光を通していませんので、マネキンの影は全く見えません。
同じ生地の色違いを並べてみました
【その1】二重織り 1~2級遮光カーテン5089
二重織りのざっくりした風合いの遮光カーテンです。
ほとんどの色が1級遮光ですが、一部は2級遮光となります。
薄めの色から濃いめの色まで、色合いや濃淡に幅がありますので、
色によって遮光性がどれくらい変わるかが、一覧でお判りいただけるかと思われます。
【その2】フルダル 1~2級遮光カーテン5655
とても細い糸を大量に使って織られた、手触りなめらかフルダル生地の遮光カーテンです。
ほとんどの色が1級遮光ですが、一部は2級遮光となります。
薄めの色から濃いめの色まで、色合いや濃淡に幅がありますので、
色によって遮光性がどれくらい変わるかが、一覧でお判りいただけるかと思われます。
それぞれの遮光等級について、独自に細かく解説します
超遮光
当店では、生地裏にコーティング加工をした
遮光率100%の商品については「超遮光」と表示をしております。
太陽光に相当する光(10万ルクス)を当てて、
通す光は0ルクスの場合遮光率100%となります。
遮光等級としては1級遮光となりますが、通常の1級遮光と比べて遮光性が高いので、
当店では通常の1級遮光とは区別して「超遮光」と表示しています。
なお、生地自体は光を遮っていても、カーテンレールや壁の間から光がもれたり、
巾継ぎの部分からも光が漏れる可能性があります。
また、特殊な環境や、太陽光以上の光が当たった場合には、
遮光率が100%の検査結果が出ている商品でも、
生地がうっすらと透けて見えることがございますのでご注意ください。
※以前は完全遮光と表示をしていましたが、誤解を招く恐れがあるため、現在は「超遮光」と表示しています。
1級遮光
かなり光を通しませんので、寝室や、西日がきついお部屋におすすめです。
なお、同じ1級遮光でも「完全遮光に近い1級(遮光率100%)」と
「2級に近い1級(遮光率99.99%)」では、かなり違いがあります。
特に直射日光が当たった場合には大きな違いが出てしまうことがあります。
目安としては濃い色は遮光性が高く、薄い色は遮光性が低くなります。
2級遮光
けっこう光を通しませんが、直射日光が当たるとやっぱり透けます。
直射日光が気になる人にはもの足りないかも・・・。
環境にもよりますが、朝の訪れは分かると思います。
3級遮光
一応遮光ということになってますが、正直に言うと・・・びみょ~な感じです。
遮光性のないカーテンに比べれば、確かに光を遮っていますが、
期待が大きすぎると、がっかりかも・・・
遮光カーテンのデメリット
遮光カーテンは、光を遮るという機能の点で、雨戸と同じような役割があります。
ただ、ちょっと陽を入れたい場合に雨戸をガラガラと開け閉めするよりはずっと手軽にできますし、
そもそも雨戸自体がついていない窓も多くなっています。
さて、この遮光カーテンですが、状況によっては
逆に遮光カーテンではないほうが良い というケースもあります。
どのお部屋をどのように使い、どのように暮らすのか、
昼間も閉める必要があるのか、夜だけで良いのか、などによって遮光カーテンの必要性は変わってきます。
一般的なデメリットを上げてみますので、ライフスタイルを考えてから遮光カーテンを選びましょう。
インテリア性が微妙です
正直に言って、遮光カーテンは発色の部分と、形状の部分で、見た目が微妙になりやすいです。
遮光カーテンは、以下の3パターンのどれかの加工を行うことによって、
光を遮ることができるようになります。
・中に黒い糸を入れている
・裏面を樹脂などでコーティングしている
・2枚の生地を重ねている
それぞれについて簡単に説明します。
中に黒い糸を入れている遮光カーテン
現在は、生地の内側に黒い糸を入れて遮光性を出しているカーテンが主流です。
そうすると、どうしても表地に黒い色が透けてきて、グレーっぽく、
もしくはカーキやグリーンぽい色合いになってしまいます。
糸を何層にも重ねているため、生地の厚みが出て断熱効果が期待できる反面、
ヒダのなみなみの形が出にくく、のっぺりした印象になりやすいです。
裏面を樹脂などでコーティングしている遮光カーテン
生地の裏面を樹脂でコーティングしているカーテンの場合も、
黒い色の樹脂を塗ることによって光を遮っています。
ただ、表面の生地と黒色の樹脂の間に、白色の樹脂をはさむことができますので、
表面から黒色が見えにくくなっています。
中に黒い糸を入れているタイプに比べて、コーティングしている商品は遮光率が上がりますが、
コーティング素材がビニールっぽく感じられ、若干硬くゴワゴワした質感になります。
また、やはりヒダの形が出にくく、のっぺりした印象になりやすいです。
2枚の生地を重ねている遮光カーテン
「裏地付きカーテン」と呼ぶこともあります。
2枚の違う生地を前後に重ねてカーテンの形に縫製し、遮光性や断熱性を上げています。
2枚の生地を重ねるため、中に黒い糸を入れているタイプに比べて表面の色は綺麗です。
また、あまり厚みがない生地を使用するため、それほど遮光性が期待できないことが多いです。
朝になっても気がつかないかも?
「朝、部屋が明るくならなかったので寝坊しました」とコメントいただいたことがありました。
また、「朝は少しずつ明るくなっていくのだから、
自然な目覚めには、遮光カーテンではダメだ!」という話を何度か聞いたことがあります。
人の体にも、目覚まし時計で起きるよりも、
自然に朝日を感じて起きるほうが良いのだと聞いたような気もします。
・・・そういうものなのでしょうか・・・
冷暖房効果をアップさせるために遮光カーテン?
夏、暑いときの断熱効果
遮光する、イコール、太陽光を遮るので、
夏の直射日光の当たる部屋を涼しくするために遮光カーテンを利用するのはかなり有効です。
ただし、単純に外が暑いときに外気温を遮りたいという場合、
生地の厚さで断熱効果に差が出ることは考えられますが、
光を遮ること自体がプラスになるとは考えにくいです。
冬、寒いときの保温効果
寒い日は、生地の厚さを使って部屋の中に冷気が入らないようにしたいのですが、
少しでも太陽の光を取り入れたほうが、お部屋が暖まるとも考えられますので、
遮光カーテンを閉めないほうが良いかもしれません(ご利用の環境によります)。
一番いいのは、陽の当たる部屋は、晴れたらカーテンを開けて外の光を入れ、
曇った日はカーテンを閉めて外気温を遮断することだと思います。
冷暖房効果についてのまとめ
エアコンによって調整された室内の温度を外に逃がさないようにするためには、
できるだけ厚手のカーテンが効果的です。
同じく、外気を遮るためにも厚手のカーテンが効果的であり、
おそらく遮光性は関係ないと思われます。
ですが、遮光カーテンの方が厚手の物が多いため、
結果的に、遮光カーテンの生地の厚さによって冷暖房効果を感じる可能性が大きいです。